はなしのたね。2011.vol.22 
1:「言葉のインフレ」のはなし。
先日、とある映画を観に行きました。ちょっと良い映画で感動的なシーンもあったせいか、上映後、後ろの席で観ていたカップルの男性の方が「ヤべェ、号泣しちゃったよ~」と呟きました。はて?泣いたのは事実かもしれませんが、号泣と言うほどのものか?と思い帰って辞書を引くと「号泣=大声を出して泣くこと」となっていて、やはり彼のそれは「号泣」ではなかったと思います。
 「言葉の使い方が間違っている」という問題ではありません。そうではなく、本来はもっと重たい意味を持った言葉が安易に使われるケースが大変多いように感じられませんか。例えばスーパーの安売り。「安売り」という表現だけで意味は十分伝わるのに、宣伝やチラシにはやたらと「激安!」の文字が踊ります。牛丼の大盛りも、大盛りでは飽き足らず「特盛り」になり、果ては「メガ盛り・ギガ盛り」といった言葉まで飛び出す始末。テレビのドキュメンタリー番組などでは「奇跡の物語」といった表現を1日に1回ぐらい目にしてしまいます。「奇跡」なんて毎日起きるはずがないのですが。
 国語学者である金田一 秀穂氏は『言葉は消費されていくので、メディアや広告は新しくて目を引く言葉を常に生み出していかなければなりません。言葉のインフレが続くとでも言いましょうか』と語っています。先ほどの「号泣」にしても、すすり泣き程度で号泣と言うのが一般化したら、本当に号泣している人を見たときは何と表現したらよいのでしょうか。お葬式などで本当に悲しくてワンワン泣いている人を、まさか「メガ号泣していた」なんて言えませんよね。
先日、とある飲み会に行ったときも、一人の女の子が「わたし、ドMなんです~」と言いだしました。するとそれに乗じて、私の親しい友人(男)が「あ、俺はドSだよ~」と返しました。おいおいちょっと待て、「ド」が付くほどの変態が、自分の周りにこんなにいるのだとしたら・・・私は友人関係を一度 見直した方が良いのかも?(N)

3:ハナタネ寄席
★中学生の頃、授業参観があると母に、『学校で会っても、声をかけんなよ!』と言っていましたが、私が大学生になり、茶髪のロンゲ&鼻ピアスになったら『街で会っても、声をかけないでね・・・』と、母に言われるようになりました。
4:さらりーまん川柳(第一生命より)
「上司より 頼れる使える スマートフォン」

「リモコンを 向けても下がらぬ 妻の声」

「アラフォーが “女子会です”と 胸を張る」